2023年3月に JICA の短期専門家として招請を受け,2週間にわたりブータン王国を訪問しました.
今回の招請では,国内唯一の国際空港のあるパロから直接 College of Science and Technology があるブータン南部,プンツォリンまで移動しました.道中はハイウェイと言いながらも山肌を縫うように巡らされた片側一車線の山道を文字通りクネクネと距離にして130kmを5時間近くかけて行きました.途中チェックポイントと呼ばれる文字通り関所が2カ所あり,早くても20分,事務手続きに不備があったりして手こずるとそこで1時間かかってしまいます.
今回の招請で伺ったのは,ブータン西南部チュカ県の中心都市,プンツォリンの高台に位置する CST (College of Science and Technology) です.日本国内でいうと東京工業大学にあたる国を代表する工科専門大学で,ブータン国内全域から学生を集めており,教員も含めキャンパス内で生活しながら勉学に勤しんでいます.
こちらの大学内に JICA の助成でファブラボが開設され,2023年12月までの任期でマネージャーとして JICA の山田専門家が着任されています.
ブータン国内では障害児を特別支援学校のような閉じた環境で教育するのではなく,一般の学校に障害児を受け入れる取り組みをしている障害児特別教育指定校 SEN (Special Education Needs) School という制度があり,今回の訪問にあたり現地の JICA 専門家山田さんのコーディネイトで翌週開催するミニ・メイカソンの事前打ち合わせをかねてプンツォリン市内にある一校を訪ねました.
ファブラボ品川の活動を簡単に紹介した後、プロジェクトの主旨をお伝えし,ご協力を快諾いただきました.今回の滞在中に開催するミニ・メイカソンはこちらの学校から児童・生徒 (必要な場合は親御さんなどの支援者) および教員を派遣していただくことになります.
CSTに到着してすぐの週末はファブラボ品川の活動紹介に加え,
・3Dスキャン
・3Dプリントの材料選択と後処理
という 2つのワークショップを開催しました.いずれも多くの学生が集まり,楽しむ姿に感心しました.
3月6日 (月)から9日 (木) の4日間に亘り,学校終了後の16時から18時30分までの時間でミニ・メイカソンを開催しました.
SEN School から2人の児童・生徒にニード・ノウアとして連日参加してもらいました.
1日目:ミニ・メイカソンのガイダンス,およびチーム・ビルディング
2日目:アイデア・スケッチ,およびプロトタイピングの開始
3日目:プロトダイピング,およびフィッティング
4日目:プロジェクトの仕上げ,およびプレゼンテーション
それぞれのチームによるドキュメンテーションはページ下部のリンクをご参照ください.
ブータン脳卒中財団から紹介を受け,プンツォリン市内に在住の脳卒中障害当事者の方にインタビューを行い,それに基づき短時間で自助具のプロトタイピングを実施しました.
作成した自助具はすぐに当事者の方に提供されました.