2023年3月に続き,7月に JICA の短期専門家として招請を受け,ブータン王国で開催された第18回世界ファブラボ会議:FAB23 に参加しました.
今回の招請では,第18回世界ファブラボ会議として実施される FAB23 に先立ち,関連イベントとして開催される FAB Bhutan Challenge にスーパーバイザーとして参加すべく,前半の日程は3月に訪れたプンツォリンの CST での滞在となりました.
FAB Bhutan Challenge は FAB23 の関連イベントとして,FAB23 に先立ちブータン国内5ヶ所のファブラボがそれぞれ選んだテーマに基づいたプロトタイピングでの成果を競うイベントです.ファブラボ CST がホストしたチャレンジのテーマは「地域のアルミ缶廃棄物を活用して、障害児の自助具の部品として活用する」でした.
プンツォリン市内の SEN School 2校から障害当事者,支援者,教員の方々に参加いただき,世界各国のファブラボを運営するメンバーがチームアップし,驚くべきスピードでプロトタイプが仕上げられていきました.ファブラボ CST チームのファブチャレンジでは,下記のプロジェクトに取り組みました.
・点字プリンター
・ゾンカ語テンプレートの作成
・インソールの作成
・歩行改善用ソールの作成
・カタログやデータ共有プラットフォームを活用した自助具の制作ガイド
・5ヵ年の教育プログラム策定
FAB Bhutan Challenge を終えた週末,南部のプンツォリンから首都のティンプーに移動しました.
FAB23 に先立つ23日の日曜日にティンプーの中心にあるクロックタワー広場にてファブ・フェスティバルが開催されました.たくさんのテントが立ち並び,各地で開催された FAB Bhutan Challenge のプレゼンテーションのほか,JICA ブータン事務所もブースを出店し,3Dプリンタで自助具をつくる活動について会場に来られたみなさんにお伝えしました.世界中から FAB23 のために集まったメイカーの人々にも活動を伝えることができ,意義深いものとなりました.嬉しいことにプンツォリンから一緒にティンプー入りしていた CST の学生たちが積極的に説明にあたってくれ,頼もしかったです.
7月24日から首都のティンプー郊外にあるテックパークを舞台に第18回世界ファブラボ会議:FAB23 が開催されました.
連日多くのシンポジウムやワークショップが開催されましたが,複数箇所で同時に開催されるプログラムの選定に困りました.
FAB23 会期中にブータン脳卒中財団本部で開催された3Dプリンタ体験会をサポートしました.当日は脳卒中財団に通って来られる障害当事者やティンプー市内の小中学校から3Dプリンタに興味のある生徒が訪ねてきたり,多くの方々に活動を紹介する機会が得られたほか,その場で障害当事者のニーズを解決するプロダクトをプロトタイプする機会もあり,スピード感を共有できたように思います.
27日にはラボのディレクター林による演題発表「Inclusive Makeathon in Bhutan and Future Perspectives」を行いました.また,最終日28日の午前中に JICA ブータン事務所と協働でワークショップを提供しました.
カンファレンスの最終日 (28日),一連の行事の最後に行われた選考結果発表で,私たちが参加したファブラボ CST のチャレンジが「大衆が選んだ最優秀チーム賞(People’s Choice Award)」に見事選ばれました.この受賞により,来年8月にメキシコで開催が決まっている FAB24 で,コミュニティでの今後の取組み状況について報告義務が生じることになりました.