ファブラボ品川 ディレクター
一般社団法人 ICTリハビリテーション研究会 代表理事
作業療法士
林 園子
こんにちは。今日のお話はこちら⭐️
#2:環境の工夫の一環としてのFabricationについてです。
前回までは、デジタルファブリケーションによって、創作や表現を楽しむことが容易になっている。むしろ障害のある方にとって、より有益であることについてお話ししてきました。
ここからは、ファブリケーションで、「最適な環境をつくる」こと。もっと言えば、デジタルファブリケーションができる環境は、「最適な環境をつくる環境」であるということを様々な例からお話ししたいと思います。
そこで、一旦「環境」って何か考えてみたいと思います。
「環境」は、とーってもいろいろ考えられると思うのですが、今回「環境」として捉えたいところはその対象となっている「ひと」にとっての「記憶力」「感覚」「運動能力」「身体」「人間関係」「使う道具」「道具と身体をつなぐ道具」「ベッドや椅子、机、トイレ、照明などの家具」「壁や床、天井や手すりや屋根などの家屋」「街や国などの社会」や「自然環境」あたりまでとします。
上記の「環境」が、デジタルファブリケーションによって「そのひと」に「最適」なものをつくれるって想像つかないものも多いのではないでしょうか?じゃあ、「記憶力」はどうやって?「感覚」はどうやって?、、、各論はまた改めておしゃべりする機会を設けるとして、わかりやすく説明できるものからお話しします。
まずは「使う道具」から。
作業療法士の皆さんは、「道具」と言ったら「自助具」を思い浮かべるのではないでしょうか?
近年、多くの既製品が手軽に安価で手に入りやすくなっている事、数多くの福祉用具を取り扱う企業の参入などにより、私の感覚としてはその方の「障害」に合わせた「自助具」を作業療法士が作らなくなってきている傾向を感じます。既製品を選ぶという事は「既にある幾つかの形の中から、その方の状態に比較的合っているものを選ぶ」という事です。ICFで言えば、「心身機能・身体構造」に対してのみ比較的フィットしたものを選んでいるに過ぎないと感じます。既製品って一旦購入したら「ちょっと違うなー」と思ってもあまり何度も購入し直したり、業者に改善を求めたりしないですよね?多くは「使うことを諦める」か、「仕方なく、自分自身を道具に合わせる」のではないでしょうか?
デジタルファブリケーションでは、その「ちょっと違うんだよね」を諦める必要が全くありません。何度でも「データ」を作り直し、何度でも3Dプリンターなどで出力し直すことができるからです。試作を重ねることをす速く容易に行え、最も適した状態の「自助具」をとことん目指すことができるのです。「その方にとって最適な自助具・福祉用具を含めた環境づくりを諦めない」共に行う試行錯誤の中で、本当のニーズや個人因子が引き出せる。それを行うプロセスそのものが作業療法であると感じます。
具体的なデジタルファブリケーションを使った環境づくりの例はこちら↓↓
各論はそろぞれがまた楽しいので、改めてながーくお伝えさせてください。
次回は#3:人びとがつながるためのFabricationについてお伝えしたいと思います。
おたのしみに⭐️